LOVERSION Music レビュー

大人の時間コンサート2014

音楽ジャーナリスト・池田卓夫 編

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※写真=池田卓夫

大人の時間コンサート2014(28/4/2014)
(池田卓夫=音楽ジャーナリスト)


コンポーザー&ピアニスト、和田七奈江が主宰するLoversionが2月最後の晩、「大人の時間コンサート」を紀尾井町サロンホールで開いた。いつもはピアノはじめ器楽中心だが、今回は持ち味を異にする3人のソプラノ歌手が大人の時間を彩った。和田は看板曲、「11月の木漏れ日」をいつもより淡々と弾いた後、ホステス役に専念。前半は常連格の濱崎洋子がソロ、伴奏とも一貫して弾き、ラフマニノフの「鐘」のプレリュードほか、スケートゆかりの楽曲を並べた。歌との呼吸も巧みで、意外に汎用がきくピアニストだと認識を新たにした。ドクターストップのソプラノに代わり、急な代役を引き受けた金木美沙枝は濱崎の国立音楽大学の後輩で今は職場の同僚という。しっかりした声で、本来はテノールのアリアであるプッチーニの「誰も寝てはならぬ」を歌った。金木に常連の阿部朋子、新倉明香が加わったヴェルディの「乾杯の歌」でも、金木はテノールのパートを引き受けた。後半は濱崎のソロで始まり、大半の部分を新倉のソプラノ、川端友紀子のピアノによるデュオが担った。フランス歌曲、オペラのアリア、唱歌、宗教曲とバラエティ豊かに並べた新倉の歌声は繊細で瑞々しく、聴く者の心にしみる。最後に阿部がNHKの東日本大震災復興支援ソング、「花は咲く」を濱崎のピアノでじっくり、情感ゆたかに歌い、好ましい余韻とともにコンサートは幕を閉じた。